第4回FP講座「その他の奨学金、高等教育の無償化について」

(制作:安平町 監修:ファイナンシャル・プランナー星 洋子氏)

 前回は、日本学生支援機構の貸与型の奨学金をご案内しました。
 第4回目は、その他の奨学金制度と高等教育の無償化(授業料などの減免と給付型奨学金)についてです。

 奨学金の種類を再度ご案内します。

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奨学金の種類

 
形態 備考
日本学生支援機構 貸与型・給付型 貸与型は無利子・有利子の両型
進学先の学校 給付型が多い 入学金免除や授業料減免型もある
自治体 貸与型・給付型 各自治体で形態などは異なる
民間団体・企業など 給付型が多い 給付型が多い 大々的に告知していないことが多い

進学先の学校の奨学金

 進学先の大学・短大・専門学校などで実施している奨学金制度です。
近年、なかでも「給付型」の奨学金を実施する学校が増えてきました。奨学金以外でも入学金免除や授業料減免などを導入している学校もあります。

 主に成績などの要件がありますから、希望すれば必ずもらえるとは限りません。むしろ競争は激しいでしょう。しかし要件に合うなら申し込みたいものです。
受験する学校が決まったら、その学校ではどのような奨学金制度があるのかを、あらかじめ調べておきましょう。各学校の入試要項や公式サイトで簡単に確認できます。

 また進学先の学校の貸与型奨学金は併用について注意が必要です。
貸与型奨学金の中には「他制度の貸与型奨学金は併用できない」というものがあります。つまり複数から借りると将来返済できない可能性が高いのでその防止という意味でしょう。
 

自治体の奨学金制度


お住まいの市町村などで実施している奨学金制度です。各自治体でそれぞれの制度内容となっています。
 例えば安平町では返済不要の「安平町育英基金奨学金」があります。大学や専門学校に進学の場合は月額12,000円の給付を受けられます。

https://www.town.abira.lg.jp/kurashi/kurashi-guide/kyoiku

民間団体・企業の奨学金制度

あしなが育英会

 あしなが育英会では、病気・災害・自死などで保護者が亡くなった場合、もしくは保護者が著しい障害を負った場合などの家庭の子どもへの奨学金制度を実施しています。

 以前は貸与型(無利子)だけでしたが、現在は貸与型と給付型がセットになりました。たとえば、大学・短大進学者の場合、月額7万円。そのうち貸与額が4万円、給付額が3万円です。

あしなが育英会 奨学金の種類
https://www.ashinaga.org/grant/scholarship.html
 

新聞奨学生

 朝刊・夕刊を配達して給与を貰いながら進学します。また決まった期間、働くと給与とは別に奨学金の支給があります。働きながら通学、勉強をすることになりますから、本人の強い意志が必要です。

 他にも飲料メーカーや、生活協同組合など、いろいろな企業が奨学金制度を実施していますが、募集する奨学生の人数は多くありませんし、大々的に広報していない企業が多数です。

高等教育の無償化(就学支援制度)

 高等教育の無償化が今年度からスタートしました。
 また、2020年からは「高等教育の就学支援制度」としてスタートします。

文部科学省 高等教育の就学支援制度
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/__icsFiles/afieldfile/2019/11/06/1409378.pdf

 この制度は低所得世帯向けの国の制度で、対象は住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯で制度の内容は下記の2つです。
 
1)進学先の学校の入学金と授業料が減免になる
2)給付型奨学金(日本学生支援機構)の金額が拡充される
 

1)授業料等の減免

 
 下表は住民税非課税世帯の場合の減免上限額です。一般的な国公立の学校の場合、この減免により入学金と授業料のほとんどを賄うことができます。
 私立の場合、授業料は全額とはいきませんが、それでもかなりの額が減免になります。
減免上限額 国公立 私立
入学金 授業料 入学金 授業料
大学 約28万円 約54万円 約26万円 約70万円
短期大学 約17万円 約39万円 約25万円 約62万円
専門学校 約7万円 約17万円 約16万円 約59万円
※文部省 高等教育無償化の制度の具体的に向けた制度の内容より
 

2)給付型の奨学金

 給付型の奨学金は、日本学生支援機構の給付型奨学金です。そもそも日本学生支援機構の給付型奨学金は数年前に導入された制度ですが、その金額が高等教育の無償化により下表のとおり拡充されました。
 特に自宅外生、つまりアパートなどで一人暮らししながら通学する学生への給付額がおよそ2倍となりました。親元を離れての生活は仕送りも必要で、その世帯の家計を圧迫しますから、たいへん助かります。
 
給付型
奨学金
国公立 私立
自宅生 自宅外生 自宅生 自宅外生
大学・短大・専門学校     約35万円
(※24万円)
約80万円
(※36万円)
約46万円
(※36万円)
約91万円
(※48万円)
※カッコ内は以前の給付額
※文部省 高等教育無償化の制度の具体的に向けた制度の内容より

3)申込について

 「給付型の奨学金」の窓口は日本学生支援機構です。申込時期は前回、ご案内した日本学生支援機構の貸与型奨学金と同じです。

 住民税非課税世帯の場合は、上記の各表の上限額になりますが、「住民税非課税世帯に準ずる世帯」は、所得によって上限額の2/3、1/3までになります。
 
 対象世帯に該当するかは、その世帯の所得、家族構成などで異なります。日本学生支援機構の公式サイトで、ある程度シミュレーションすることができますので、奨学金の申込時期の前にぜひシミュレーションしてみましょう。

日本学生支援機構 進学資金シミュレーター
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/oyakudachi/shogakukin-simulator.html


 「授業料等の減免」の窓口は進学先の学校です。給付型奨学金に採用後に進学先の学校で進学後に手続きをします。

その他の奨学金と高等教育の無償化のまとめ

 最後に奨学金制度の注意点をまとめます。
 一つ目は添付書類についてです。どの奨学金でも申し込み時にいくつかの関係書類を添付します。特に世帯の所得に関する書類やマイナンバー関係などの書類を取り寄せるには保護者等の協力が不可欠です。
 
 二つ目は高等教育の無償化による支援金(授業料などの減免と給付型奨学金)についてです。せっかくこの支援金で進学しても、勉学の状況が一定の要件に満たない時は、支援金の打ち切りや、場合によってはそれまでの支援金の返済を求められます。
 
 周りが進学するからなんとなく自分も、では結局、勉強についていけずに中途退学となってしまいます。進学する目的をしっかりと持って必ず卒業するという意欲の元で勉学に励むことが大切です。

 貸与型奨学金は、言葉を変えれば「学生ローン」のようなものです。しかし学生がお金を借りて進学するということは将来の自分への投資ですから、将来の自分をしっかりと頭に描いて学生生活を送るということを伝えましょう。