おためし暮らし体験vol.6

 おためし暮らし体験者インタビュー Vol.6
 京都府在住のHさんご家族
 滞在期間:令和7年6月10日~令和7年6月30日

移住・・・漠然と不安です

 個人事業主として働くお父さんと、出産を機に起業したお母さん、そして元気いっぱいの4歳・3歳・2歳のきょうだい3人。そんなHさんご家族が、3週間「おためし暮らし住宅」に滞在してくれました。
 お母さんの大学時代の友人が元安平町地域おこし協力隊だったり、研修会で出会った方が今は町内で働いていたり…人とのご縁がつながって、今回の滞在が実現しました。
 お父さんとお子さんたちにとっては、初めての安平町。実際に来てみて、どんな印象を持ったのでしょうか?
 今回は、先輩移住者として町内で教育に携わっているKさん、2児の親であるMさん、地域おこし協力隊の百崎隊員を交えて、ざっくばらんにお話を伺いました。

なぜ「おためし暮らし住宅」を使ってみようと思ったの?

お母さん
京都在住ですが、仕事で北海道に来ることが多いんです。そのたびに子どもが寂しくて泣いちゃって…。そんなこともあって、家族で北海道に住むことを本気で考えるようになりました。私は大学時代も含めて北海道に7年間住んでいたのですが、夫は京都生まれ・京都育ちなので、まずは暮らしを体験して、北海道の良さを知ってほしくて利用しました。
お父さん
今回は6月に滞在しましたが、「北海道に住むなら冬も体験しないとダメだよ!」って地域の方に言われました。たしかに、冬の寒さや雪も味わってみたいなと思っています。
Kさん(町内在住)
私も本州から移住してきたんですけど、初めての冬はびっくりの連続でした。車の中にイチゴを一晩置いていたら凍っていて…冷蔵庫じゃなくて冷凍庫状態でした。冬の生活は実際に体験してみないと分からない部分も多いですね。

暮らしてみてどうでしたか?

お母さん
町内の飲食店へ積極的に行きました。そこでの出会いがあったり色々なお話を聞いたりできました。3週間の滞在期間中に何度も出会う方もいましたよ。
お父さん
実は滞在中に家族全員が次々に胃腸炎になっちゃって大変でした。近くの渡邊医院にお世話になったりと、リアルな暮らしを実感しました。 イベントにもたくさん行きましたよ!道の駅、ガンケ山、エントランス、遠浅地区でも催しがあって、この町はイベント多いな~何か始まりそうな雰囲気が町全体にあるな~と感じました。
お母さん
イベントなどをやっているところが見えやすかったりプロセスがわかる距離がよいですね。変容するにはちょうど良い大きさ(人口規模)の町だなと思います。
お父さん
安平町が幼小中の一貫教育をやっているのもこの規模だからこそできるのかも。京都だと子ども園や学校が多くて、こういう連携はなかなか難しいです。
お母さん
2年前に安平町を訪れたときは教育という切り口で素敵だな!と思ったんですが、今回はそれに加えて、ゼロカーボンシティの取り組みや町長と対話のまちづくりなど町が目指している未来づくりに共感しました。イベントも温かく安心感があり無理せず自分のペースで関われる感じが心地よかったです。
お父さん
子どもたちはおためし暮らしの家が気に入って、マンションよりここがいい!でも、京都の友達とも会いたいし・・・と葛藤していました(笑)。
お母さん
「はやきた子ども園」の一時預かりを利用しましたが、そこは3人とも楽しく通っていました。
お父さん
私自身もこの町に来たら何が出来るのだろう?と考えた時に自分で仕事をつくっていくという選択肢も必要なだと思いました。このまちだったら応援してもらえるかも!と思えて心強いです。安平では「やっちゃダメ」って雰囲気があんまりなくて、大人も子どももやりたいことを見つけやすい環境なんだろうなぁ~と感じました。

移住に向けて、心配なことは?

お父さん
高校とかその後の進路とかはどうですか?追分高校は余白を大切にしながら、自分追求などに力を入れていると聞きました。自分に適したものを見つけていくのが今後、大切になってくると私も思います。
Kさん(町内在住)
町内の子どもがみんな追分高校に行くわけではなく、苫小牧、千歳、札幌の高校に進学する子もいます。進学、就職などで町外に出て行く子もいますが、いずれ安平町に帰ってきてくれたらいいなと願っていて、小学校では「ふるさと教育」にも力を入れているんです。
お母さん
私たちの子どもが高校に進学する10年、15年後には状況も色々と変わっているでしょうね。高校もリモート授業が当たり前になっているかも…?!
お父さん
これからどんなふうに暮らしていくかはまだ考え中です。ずっと1つの場所に住むっていうのは性格的に向いてない気がして、多拠点生活も検討しています。ただ、子どもたち3人が通っている保育園を卒園はさせてあげたいので、タイミングを悩んでいて卒園を一区切りにして移住…とか、まずは夏だけ安平に住んで、冬は別の場所とか?!色々な選択肢を模索していきたいです。
お母さん
今は夫の実家が近くて、いざという時に頼れる環境はありがたいんです。子育てって、核家族だけでやるには限界があるな~と感じています。
Mさん(町内在住)
私も義理の両親が近くにいて、子どもの急な体調不良時に見てもらったり、夕飯をご馳走になったり、何かと助けてもらっています。
百崎隊員(地域おこし協力隊)
私は家族も知り合いもいない安平町に夫、子どもと移住しました。大変は大変なんですけど、安平町では何かあったら「助けて」って言える環境で困ったら誰かが助けてくれるという都会にはない、安心感がありますよ。
お母さん
助けてって言える空気感がある町って、すごくいいですね。
お父さん
安平に住むなら自分でなんとかしなきゃ、頼れるのは自分だけというマインドセットを溶かしておかないといけないですね。

安平町でこんなこと出来たらいいな!ありますか?

お父さん
先日、ENTRANCE(※1)に行って思ったのですが親がしんどいなぁ~って時に子どもとENTRANCEに行けばみんなで子どもを見てくれる・・・そんな環境ができれば親の気持ちがふっと軽くなれていいんじゃないかなと思いました。仕事をしたり、キッチンで料理も出来そうでしたし。子どもたちにとっても学校とも家とも違う逃げ場のような場所になるんじゃないかな~。
それと、おためし暮らし住宅と別に一定期間居住ができるような住まいがあれば利用したいですね。二回目、三回目も気軽に来れたり、多拠点生活希望者でも使えるような。
お母さん
他の地域でそのような取り組みをやっている所がありますよね。観光の滞在ではなく、ちょっと暮らして地域に知り合いができれば、またその人に会いに来たくなりますし、地域に経済的な循環も生み出すので、いいんじゃないかと思います。
移住ってライフイベント的には大きいので勇気がいると思うんです。今回、その決断をされた方から実際にお話しを聞くことで安心感をいただけました。
お父さん
私もお話を聞いて、だいぶイメージができました。でも…正直なところ、何がとかではないんですけど漠然とした不安はありますね~。

※1:ENTRANCEとは追分にあるコミュニティスペース(https://entrance-abira.com/

 最後にお父さんがおっしゃっていた「漠然と不安」。これは移住を検討している多くの人が感じている本音かもしれません。先輩移住者から話を聞いて疑問は解決したとしても、漠然とした不安というのはなかなか拭えないと思います。
 Hさんご家族にとって、今回の滞在はスタート地点でこれからも繋がっていき何度か安平町を訪れてもらい、人と出会い、まちの空気に触れてもらうことで少しずつその不安がやわらいでいくといいなと感じました。

 Hさんご家族のみなさん、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

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