○安平町認知症総合支援事業実施要綱

令和元年7月1日

安平町告示第24号

(趣旨)

第1条 この要綱は、介護保険法(平成9年法律第123号)第115条の45第2項第6号及び地域支援事業実施要綱(平成18年6月9日老発0609001号厚生労働省老健局長通知)に基づき認知症総合支援事業に関し、必要な事項を定めるものとする。

(目的)

第2条 認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができるよう、認知症が疑われる者、認知症の者及びその家族(以下「支援対象者」という。)へ地域の実情に応じ効果的に認知症対策を推進するため、安平町認知症対策総合支援事業(以下「総合支援事業」という。)を実施する。

(実施主体)

第3条 この事業の実施主体は、安平町(以下「町」という。)とする。ただし、当該事業の全部又は一部について、町長が適当と認める事業者に委託することができる。

(実施事業)

第4条 総合支援事業で次の各号に掲げる事業を実施する。

(1) 認知症初期集中支援推進事業

(2) 認知症地域支援・ケア向上事業

(3) その他、支援対象者に対し必要な事業

(認知症初期集中支援推進事業)

第5条 支援対象者に対する初期支援を包括的かつ集中的に行う「安平町認知症初期集中支援チーム」(以下「支援チーム」という。)を設置し、早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築し認知症初期集中支援推進事業(以下「支援事業」という。)を実施する。

2 支援チームは、次の各号に掲げる専門職2名以上及び専門医1名をもって構成する。

3 専門職は、次の要件のいずれにも該当する者とする。

(1) 医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、精神保健福祉士、介護支援専門員等で、かつ、認知症の医療や介護における専門的知識及び経験を有する者

(2) 認知症ケアや在宅ケアの実務又は相談業務等に3年以上携わった経験がある者

(3) 国が定める認知症初期集中支援チーム員研修を受講し、必要な知識及び技能を修得した者。ただし、同研修を受講していない者も、受講した者からその研修の内容をチーム内で共有することを条件として、本文に掲げる知識、技能を修得した者とみなすものとする。

4 認知症サポート医は、日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師で、認知症サポート医である医師とする。ただし、医師の確保が困難な場合には、次の医師も認めることとする。日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定のある者又は認知症サポート医であって、認知症疾患の診断・治療に5年以上従事した経験を有するもの(認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている場合に限る。)

5 支援チームは、次に掲げる業務を行うものとする。

(1) 認知症に係る普及啓発に関すること

(2) 訪問支援対象者の把握に関すること

(3) 情報収集に関すること

(4) アセスメントに関すること

(5) 初回家庭訪問に関すること

(6) チーム員会議に関すること

(7) 初期集中支援の実施に関すること

(8) 関係機関等との連携に関すること

(9) 初期集中支援の終了とその後のモニタリングに関すること

(10) 初期集中支援に関する記録に関すること

6 チーム員の役割は、次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 専門職については、訪問支援対象者の認知症の包括的観察及び評価による初期集中支援を行うために訪問活動等を行う。また、町の地域包括支援センターの職員や保健師、かかりつけ医、認知症サポート医、認知症専門医、介護事業者等との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保する。

(2) 認知症サポート医は、他のチーム員をバックアップし、認知症に関して専門的見識から指導・助言等を行う。また、必要に応じてチーム員とともに訪問し相談に応じる。なお、訪問する場合のチーム員数は、初回の観察・評価の訪問は原則として医療系職員と介護系職員それぞれ1名以上の計2名以上で訪問することとする。

(訪問支援対象者)

第6条 訪問支援対象者(以下「支援者」という。)は、町内に住所を有する在宅で生活する40歳以上の認知症である者又は認知症が疑われる者であって、医療又は介護サービスを受けていない、次のいずれかに該当する者とする。

(1) 認知症疾患の臨床診断を受けていない者

(2) 継続的な医療サービスを受けていない者

(3) 適切な介護サービスに結びついていない者

(4) 介護サービスを中断している者

(5) 医療又は介護サービスを受けているが、認知症の行動又は心理症状により、その家族等が対応に苦慮している者

(認知症初期集中事業)

第7条 認知症初期集中事業の内容は、次のとおりとする。

(1) 支援者の把握

(2) 情報収集及び観察・評価

本人のほか家族等あらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い、本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族状況等を情報収集すること。

(3) 初回訪問時の支援

初回訪問時に認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門的医療機関への受診や介護保険サービスの利用の効果に関する説明及び訪問支援対象者やその家族の心理的サポートや助言を行う。(おおむね2時間以内)

(4) 専門医を含めたチーム員会議の開催

初回訪問後、支援者毎に、観察・評価内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、チーム員会議を行う。必要に応じて専門医・かかりつけ医や専門職員等の参加を依頼する。

(5) 初期集中支援の実施

支援チームは、支援対象者が医療サービス又は介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間、初期集中支援として支援対象者等に対して次に掲げる支援を行うものとする。

 医療機関への受診が必要な支援者への動機付け

 継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援

 介護サービスの利用等の勧奨・誘導

 認知症の重症度に応じた助言

 生活環境等の改善

 その他町長が必要と認める支援

ただし、支援者が医療サービスや介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし、おおむね最長6か月とする。

(6) 引継ぎ及び引継ぎ後のモニタリング

支援対象者への初期集中支援の終了を決定したときは、地域包括支援センターの職員及び担当介護支援専門員等と同行訪問等により円滑に引継ぐものとする。

2 支援チームは、前項の引継ぎの概ね2月後に、当該対象者に係る医療サービス又は介護サービスの利用状況を評価し、支援の必要性を判断の上、随時モニタリングを行うものとする。

(検討委員会)

第8条 支援チームの設置及び活動状況について検討するため、安平町認知症初期集中支援チーム検討委員会(以下「検討委員会」という。)を設置する。

2 検討委員会は、次に掲げる者(以下「委員」という。)をもって構成する。

(1) 保健・医療又は福祉に携わる関係者等10人以内

(2) 委員は、町長が委嘱又は任命する

(3) 検討委員会に、委員長及び副委員長を置く

(4) 委員長及び副委員長は、委員の互選により決定する

(5) 委員長は、検討委員会を招集し、会議を主宰する

(6) 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故あるとき又は委員長が欠けたときは、その職務を代理する

(7) 委員長は、会議に際し、必要に応じて関係者の出席を求めることができる

3 医療・保健・福祉に関わる関係者等から構成する検討委員会が関係機関・団体と一体的に当該事業を推進していくための合意が得られる場となるよう努め、支援チームの活動状況を検討する。

4 前項に規定する検討委員会については、安平町地域福祉総合検討推進協議会がこれを兼ねることができる。

(認知症地域支援・ケア向上事業)

第9条 医療機関や介護サービス及び地域の支援機関等との連携を図り支援対象者の相談業務等を行う認知症地域支援推進員(以下「推進員」という。)を配置し、当該推進員を中心として、医療・介護等の連携強化等による、地域における支援体制の構築と認知症ケアの向上を図ることを目的とする。

2 推進員は、次の各号のいずれかに該当する者を1人以上配置するものとする。

(1) 認知症の医療や介護における専門的知識及び経験を有する医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、精神保健福祉士又は介護支援専門員等で、かつ、認知症の医療や介護における専門的知識及び経験を有する者

(2) 認知症介護指導者養成研修修了者等であって、認知症の介護や医療における専門的知識及び経験を有する者として町長が認めた者

(推進員の業務)

第10条 推進員は、支援対象者の状況に応じて必要な医療や介護等のサービスが受けられるよう関係機関との連携体制を構築するとともに、次の各号の事業を行う。

(1) 認知症ケアパスの作成・普及における主導的役割を担う

(2) 支援チームと連携を図り、必要なサービスが提供されるよう調整する

(3) 認知症カフェ等の開催

(4) 認知症の人の家族向けの介護教室の開催

(5) 認知症ケアに携わる多職種協働のための研修事業

(6) 認知症である者及びその家族に対する支援のための相談支援・研修会、交流会等に関すること

(報償費)

第11条 認知症サポート医等医師の支援チーム員会議への出席に対する額は1回当たり20,000円とする。

(守秘義務)

第12条 チーム員は、安平町個人情報保護条例(平成25年条例第19号)の規定等を踏まえ、訪問支援対象者及びその家族の個人情報の保護及びプライバシーの尊重に万全を期すものとし、正当な理由がなくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

この要綱は、令和元年7月1日から施行する。

安平町認知症総合支援事業実施要綱

令和元年7月1日 告示第24号

(令和元年7月1日施行)